終わらない月次ラッシュの舞台裏
毎月の締め作業や請求書処理が終わったと思ったら、もう次の月次が始まります。さらに年次決算や監査対応、税務申告の準備も重なり、常に〆切が追いかけてくる――これが多くの中堅経理担当者の日常です。
ポイント:月次作業が終わるまで平均で “15~20営業日” を費やす企業もあります。締めの遅れは、経営層の意思決定を遅らせる大きなボトルネックです。
任されるけど決められないモヤモヤの正体
主任や係長になると承認ステップは増えますが、予算や人員を決める最終権限は上長や経営層。責任は感じるのに、自分で動かせる範囲が狭い――「任されるのに決められない」状態にストレスを抱える人が多いです。
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期待値は上昇:社内からの問い合わせが倍増。
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裁量は限定的:システム導入や外注計画を立てても決裁が降りない。
このギャップを放置すると「どうせ無理」と諦めるマインドが蔓延し、改善サイクルが止まります。
Excel頼みの危うさと“属人化トラップ”
急ぎの対応では、ついExcel関数やマクロで乗り切ってしまいます。しかし、そのファイルの仕組みを知っているのは自分だけ。もし長期休暇を取ると現場が止まる――そんな属人化リスクが潜んでいます。
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エラーが雪だるま式:複雑なVLOOKUP と INDIRECT 関数で参照切れが多発。
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バージョン管理地獄:最新版がどれかわからず、月次でファイル衝突。
大学生の皆さんは共同レポートで似た経験があるかもしれません。職場ではスケールが大きくなるだけで本質は同じです。
後輩指導と自己学習でパンク寸前
後輩に仕事を教えながら、自分はデジタル化(DX)や会計基準の改正を勉強しなければなりません。時間が足りず、どちらも中途半端になりがちです。
よくある悪循環
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新人の質問に答える → 自分の作業が遅れる
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残業で取り戻す → 学習時間が削られる
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知識不足 → さらに質問が増える
DXの波を“見ているだけ”で終わらない方法
クラウド会計やRPA(業務自動化ツール)の情報は出回っていますが、「うちの会社に合うのか」「誰が設定を担当するのか」が決まらず検討が先延ばし。気づけば周囲の会社と技術の差が広がるのではと不安になります。
未来視点:数年後、クラウド化が遅れた企業は決算スピードで2週間以上の差をつけられ、資金調達の機会を逃すケースが増える予測があります。
キャリアの先がぼんやりする理由
専門性を高めて転職市場で評価される一方、「管理職経験がない」「データ分析が苦手」などの理由で将来の選択肢が狭まる可能性があります。モチベーションが下がるポイントです。
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スペシャリストの壁:経理専門だけでは給与レンジが頭打ち。
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マネジメント未経験:チームリーダー経験を求められる求人が増加。
未来からのアドバイス(やさしく実践・詳細版)
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月次作業を段取りごと見直す
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AI-OCR+自動仕訳エンジンで手入力を60%削減
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ワークフローを「締め→確認→分析」の3段階にシンプル化
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まずは請求書PDF 300枚を対象に試験導入し、効果を具体的数字で提示します。
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提案で裁量を引き寄せる
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ROIシート(投資回収表)を1ページで作成
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例:RPA導入コスト50万円 → 年間人件費削減120万円
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数字と期限を示して上司のYESを引き出しましょう。
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Excel+ミニ自動化スクリプト
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Google Apps Scriptで請求書データをスプレッドシートに自動転記
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Python pandasで月次仕訳をCSV化し、会計ソフトにインポート
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スクリプトと使い方をNotionに共有し、属人化を回避します。
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学んだことはすぐに教える
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週30分の“ライト勉強会”を定期開催
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持ち回りで資料作成 → プレゼン → Q&A
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教えることで知識定着率は3倍に。チーム力も向上します。
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経理×データ×ビジネスの三刀流
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経理:仕訳・決算・税務
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データ:BIツールで売上分析、簡単なSQL
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ビジネス:部門横断プロジェクトに参画しKPI設計を経験
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3つを掛け合わせた実績をポートフォリオにまとめると、次のキャリアで大きな武器になります。
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まとめ:数字で未来を描く力を養おう
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月次の効率化 → 時間を創出
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提案と自動化 → 裁量を拡大
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学びと共有 → チーム全体を底上げ
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三刀流スキル → キャリアの視野を拡大
数字は未来を映す鏡です。毎月追われるだけでなく、数字を使って未来を描く力を育てましょう。あなたの一歩が、チームと自分の働き方を変えます。